第2回 脳内のトラウマの記憶の場所
( PTSD、トラウマの記憶を消すシリーズ)

2022年5月6日

MEG PTSD うつ病 トラウマ メンタル 鍼灸・ハリ

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トラウマの記憶は右脳の後頭部で視覚野のあたりに記憶されます。最新のPTSDの論文の脳画像を使ってトラウマの記憶の位置を説明します。

論文はイラクとアフガニスタンの戦闘から帰還したPTSDの米国退役軍人のMEG画像(脳の磁気画像)です。 論文中の画像データを私なりに分析して、トラウマ記憶の位置を特定します。


トラウマのER理論では、脳のどこにトラウマが記憶されて、それが脳の活動にどのように利用されているか説明する理論です。 トラウマの記憶の場所が重要です。脳の記憶場所に関する基本情報の記事になります。

目次 (連載記事のページ)

PTSD、トラウマの記憶を消すシリーズのページ

トラウマのER理論の全体像が分かる記事です。

トラウマの記憶は脳のどこにあるか、最新の脳画像で説明しています。
トラウマのER理論の前提となる科学情報です。

トラウマのER理論が詳しく説明されています。

具体的にトラウマの記憶を消す為のセルフケアの運動法です。


視覚野の脳の位置

一般に情動に関わる記憶は右脳、言語性や論理的な記憶は左脳と言われています。
恐怖、命の危険を感じた時の感覚などは情動なので右脳に記憶されます。

そのトラウマの記憶は右脳の後頭部で視覚野のあたりに記憶されます。
その前に、まずは視覚野が脳のどこにあるか説明します。

Fig.1 は脳を左横から見た図です。
画像の右が背中側の方向です。
 
脳の視覚野は赤い部分です。 
脳の後頭部に当たります。

その赤い視覚野のちょっと上が感覚野になります。

脳の視覚野の位置が分かる図
Fig.1 視覚野の位置 後頭部にある。



論文からのPTSDの脳画像

論文PMC5403896:フロントハム神経科学。2017; 11からのPTSDの脳画像です。*1)
本記事の下の方の「Fig.2 トラウマ記憶の位置が分かるMEG脳磁気画像」 です。

戦闘行為から帰還した退役軍人の脳画像です。
正常者とPTSD患者との脳の比較のMEG画像(脳磁気画像)*2)です。
測定装置のMEGを参考資料に示します。

上行はPTSDを発症していない退役軍人(正常者)の脳画像です。 
下行がPTSDを発症している退役軍人の脳画像です。 


論文PMC5403896の結論

論文からの抜粋
PTSDのある退役軍人は、PTSDのない人に比べて、前頭前野、感覚運動野、側頭葉の神経活動が有意に強いことが示されました。

また、PTSDの退役軍人は、両側の扁桃体、海馬傍、海馬の領域で有意に強い活動を示しました。

逆に、健常な退役軍人は、PTSDの退役軍人に対して、両側の後頭葉の神経活動がより強かった。

扁桃体の強い活動

従来よりPTSDでは扁桃体に強い活動があると言われています。 MRIやPETからの観察結果からです。 特に右側の扁桃体が活動が高まるというのが定説でした。

しかし今回のMEG画像では健常な退役軍人に比べて左右の両方の扁桃体が活動が高まっています。下記Fig.2のe列の画像の赤い部分で確認できます。

MEGの観測では、PTSDは左右の両方の扁桃体が活動が高まるが分かりました。少し新しい発見です。


Fig.2 b列について

論文PMC5403896中に画像の観測方向についての情報がありません。
Fig.2 b列の画像は小脳が綺麗に映っているので、一応後ろから脳を観測した画像データと判断しましたが、どの方向から観察した画像が判断に苦しみます。

論文では海馬傍、海馬の領域で有意に強い活動と言っていますので、もしかしたら脳底からの観察結果で海馬の高さで測定した画像である可能性もあります。


脳画像に対する私の解釈:トラウマ記憶の位置

論文PMC5403896では言及されていませんが、視覚野の活動に着目しています。

Fig.2は目を閉じた安息状態のMEG画像です。 赤い部分が活動が活発な場所になります。


最左のa列の上下の2つの画像

Fig.2の最左のa列の上下の2つの画像で視覚野が分かります。 
脳を右横から脳の活動を観測した画像になります。 
その画像で背中側は左になります。

目を閉じているので、視覚野は動いていないはずですが、最左の下のPTSDの患者では赤い部分で解るように強い活動が見られます。 

その視覚野にトラウマの記憶があります。
五感で得た情報をリアルタイムで照合して安息時でも危機予予測をしていることが分かります。

正常者でも視覚野が少し活動しています。 五感の視覚以外を視覚情報に変換して何かの脳処理がされていると考えられます。


中央のc列の上下の2つの画像

視覚野の少し上が感覚野になります。 左脳の感覚野が動いています。



Resting-State Neurophysiological Abnormalities in Posttraumatic Stress Disorder: A Magnetoencephalography Study - Scientific Figure on ResearchGate. Available from: https://www.researchgate.net/figure/3D-renditions-showing-brain-regions-with-significant-resting-state-neuronal-activity-in_fig1_316461376 [accessed 4 May, 2022]
Fig.2 トラウマ記憶の位置が分かるMEG脳磁気画像
Resting-State Neurophysiological Abnormalities in Posttraumatic Stress Disorder: A Magnetoencephalography Study - Scientific Figure on ResearchGate. Available from: https://www.researchgate.net/figure/3D-renditions-showing-brain-regions-with-significant-resting-state-neuronal-activity-in_fig1_316461376 






トラウマを理解する上で参考となる私の過去記事

★第3回  右脳のトラウマの記憶
https://kiraracare.com/ptsd3.shtml


★第4回 PTSDに在るということは
https://kiraracare.com/ptsd4.shtml

参考資料

1)論文 PMC5403896:フロントハム神経科学。2017; 11
Resting-State Neurophysiological Abnormalities in Posttraumatic Stress Disorder: A Magnetoencephalography Study
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28487642/


2)MEG(脳磁気画像) Magnetoencephalography 
MEGスキャナーの写真
MEGスキャナーの写真
米国政府「国立精神衛生研究所、国立衛生研究所、保健福祉省」からの提供


履歴

                                    図の番号の間違いを訂正            2022-July20  


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