数多くのMRI画像で確認されている事実です。
松澤大樹先生は放射線の画像診断の専門家で、精神科とは違います。 部外者が革新的なことをいっても受け入れられなかったようです。
その脳の傷が治ると、うつ病も治ります。
今回の記事は、うつ病の脳の傷をMRIイメージで使い説明します。
記事を書き終えて分かったのですが、この記事の内容は書籍「目で見る脳とこころ」と「心の病は脳の傷」からの解説と、それに対する若干の補足になりました。
脳の傷
うつ病は脳にできた傷です。 傷の場所は脳の扁桃体で、扁桃体の一部が欠損しています。 元東北大学教授の松澤大樹先生が1990年の前より、数多くの患者さんと数多くの脳のMRI画像で明らにされています。*1),*2)
傷と聞いてイメージされるのは線状の損傷ですが、うつ病の傷は、脳細胞が死滅して欠損ができ、凹みをもつ穴のような傷です。 ストレスが脳細胞の一部を死滅させて穴ができます。
うつ病が作る脳の傷(欠損)の図1
下に示す図1がうつ病患者と健常者の比較の脳のMRIイメージ図です。
右側が正常で、左側がうつ病のイメージ図になります。
左側のイメージ図で赤の矢印で示す部分が黒くなっています。 そこの脳細胞が死滅して無くなって穴が開いています。
それは扁桃体の「基底外側核群」と呼ばれる部分です。 扁桃体では、中央から下部を占め海馬に近い部分です。*2),4)
図1 うつ病の脳の傷
著者の田辺 巧氏の許可を頂き、書籍「心の病は脳の傷」からの抜粋
統合失調症の脳の傷の写真 図2
統合失調症も、うつ病と同じように脳の扁桃体に傷があります。 傷の場所は少し違います。 扁桃体の「皮質内側核群」と呼ばれる海馬から遠い場所です。 形は半月形で、貫通穴です。そしてその傷のサイズはうつ病と比べて大きいです。*2),4)すなわち扁桃体とその周囲の神経細胞の欠損が大きいです。 本来働くはずの脳神経が無くなっているので、脳の機能が損なわれています。
下の図2の右側で、赤い矢印の部分が統合失調症の脳の傷を示しています。
上の図1の正常者とうつ病の傷を比べて頂くと半月形の傷の大きなが分かります。
元東北大学教授の松澤大樹先生はうつ病が悪化すると統合失調症になると考えてられていました。 私もその考えを支持します。
図2 統合失調症の脳の傷
著者の田辺 巧氏の許可を頂き、書籍「心の病は脳の傷」からの抜粋
統合失調症とは、松澤大樹先生の発見
書籍「心の病は脳の傷」の中で元東北大学教授の松澤大樹先生の説明があります。 統合失調症を的確に説明されています。 少し長いですが、その部分を引用させて頂きます。*2)
精神科では、うつ病と統合失調症は全く別の病気だと考えられてきました。松澤先生も当初は「精神科の常識」を信用じていました。 しかし毎日毎日撮影しているうちに、統合失調症なのにうつ病の穴のある患者さんがいることに気づきました。改めて調べ直してみると統合失調の患者さんには必ずうつ病の穴があることが分かってきました。逆にうつ病の患者さんに統合失調症の傷が見つかり、やがて全員に両方の傷があることが分かった。統合失調症は必ずうつ病から発病することを発見しました。
上記の引用を少しだけ補足してまとめると
うつ病と統合失調症は脳の扁桃体にある傷から生まれます。 両者を特徴づける傷は別々の位置にあります。 大きなストレスがあるとその2つの場所に傷が生まれます。 その傷が大きくなると最初にうつ病になります。 さらに大きなストレスが続くと統合失調症の傷が更に成長して、扁桃体に半月状の大きな貫通穴が生まれます。 そして統合失調症になり、症状がでます。
現在の精神医学の統合失調症の考え
精神医学の世界では、統合失調症がどうして起こるかは、まだはっきりと明らかになっていません。 その現状があり、脳内の神経伝達物質の異常に着目した対処療法的な治療が行われています。
例えば、統合失調症のドーパミン仮説 , 統合失調症のグルタミン酸仮説, 統合失調症の神経発達障がい仮説などの諸説があります。 その説を根拠に薬物治療が行わていますが、完治には程遠いのが現実です。
統合失調症については別の機会に記事
今回の記事はうつ病に特化しております。 これ以上の統合失調症については、別の機会に記事を書きたいと考えています。
脳の傷の認知度、世間と精神医学会
元東北大学教授の松澤大樹先生は心の世界を脳のイメージ画像で見えるようにされました。
ストレスが脳の傷を作り、うつ病と統合失調症なることも明らかにされました。
更に その修復を担うのは脳神経幹細胞であるということも提唱されました。 1990年頃です。 革新的な発見であると、私は考えています。 脳神経幹細ついては別の記事で説明します。
また2003年にはNHK出版から松澤大樹先生の業績を広く紹介する本「目で見る脳とこころ」が出版されました。
また2008年には元朝日新聞科学記事記者である田辺 巧氏が松澤大樹先生の話を聴きとりそれを紹介する「心の病は脳の傷」を出版されました。
しかし世間に「うつ病は脳の傷」という考えが広まっているとは言えません。5)
私の鍼灸院にはメンタル疾患をもった患者さんが多く来られます。 その患者さんから病院での治療法を聴いても「うつ病は脳の傷」の話はありません。
唐突で失礼しますが、それと私の私見ですが、日本社会もつ閉鎖性です。 新なる革新的なことは黒船からしか受け入れないという事です。
松澤大樹先生の孤立無援の戦い
ここでいう孤立無援とは言葉の綾で、精神学会や精神医学の大勢に対して相対的な孤立無援です。
国見ケ丘未来クリニック
2004年から仙台市に松澤大樹先生自身のクリニックを開院して、メンタル疾患の患者さんに対して自身の松澤式診療を続けられました。
しかし2017年3月に、院長である松澤大樹先生の高齢化による体力の低下と後継者不在の理由により閉院されました。
特許:一つだけ惜しまれる点
松澤大樹先生の「こころを脳のイメージ画像で分析する」の広がりの妨げがあります。 それは脳の傷の撮影法に関する特許です。
特許を取る事で、「うつ病は脳の傷」を証明できる具体的な方法に制限が出来てしまいました。 松澤大樹先生の偉大な業績とその後の戦いをみると、その1点だけが惜しまれます。
その点については別のブログテーマ仮題「時代の大波が来ている。(うつ病と統合失調症診断の劇的変化)」で説明します。
次回のブルグのテーマ
次回の記事は:
ストレスが脳の傷と筋肉のコリを作ることについて解説します。
東洋医学の考え方と最新の脳科学をお互いに繋ぎ、科学的に治る理由を説明します。
参考文献
1) 書籍 「目で見る脳とこころ」 編著者:松澤 大樹 NHK出版 2003年
元東北大学教授の松澤大樹氏は MRI と PET のコンビネーションにより、扁桃体(へんとうたい)に傷が生ずることによりうつ病、統合失調症などが発症し、傷が治るとうつ病、統合失調症は治ることを明らかにしました。
2) 書籍 「心の病は脳の傷」 うつ病、統合失調性、認知症が治る
著者: 田辺 巧 話す人: 松澤 大樹 西村書店 2008年
精神障害の検討に有効な脳の断層画像を得る脳の断層画像の作成方法を得ることを目的とし、脳の断層画像を得る脳の断層画像の作成方法において、大脳辺縁系の海馬と扁桃、脳幹及び大脳皮質の断層画像を、すべて同一画像面上に撮影する工程を有する脳の断層画像の作成方法を提供する。また、該脳の断層画像の作成方法を実施する装置を提供する。
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fncir.2013.00129/full#F1
4) 扁桃体の解剖図 Front. Neural Circuits, 01 August 2013 |Inhibitory networks of the amygdala for emotional memory
https://www.frontiersin.org/files/Articles/58867/fncir-07-00129-HTML/image_m/fncir-07-00129-g001.jpg
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fncir.2013.00129/full#F1
5)第18回今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会議事録
厚生労働省主催の討論会
厚生労働省主催の討論会
日 時:平成21年6月4日(木) 15:00~17:30
場 所:厚生労働省 省議室
精神医療サバイバー 広田和子さんの発言 以下です。
私がこの週刊現代中に出てくる、実に今、精神科医が嫌っている松澤大樹、82歳、放射線の医者です。この医者が、いわゆるうつ病と統合失調を合わせて混合型精神病と。それはMRIのカクドをやると治るということで、この人を7月4日に講演会に呼んでいます。ですから、反論のある医者がいたら会場に来て言っていただきたい。それを書いているとんでもないという医療ジャーナリストという、ある新聞社の科学部の元記者ですが、田辺記者、「変人だ」ということで、私は、「いや大変人だと言われた小泉さんに会ったけれども、普通の人だった。だから、会ってきます」ということで、今度この方も、2人でセットで講演に来てもらいます。
編集履歴
- うつ病と統合失調症の扁桃体に傷の説明を補足
- 時代の大波(脳イメージ撮影法の特許)について別ブログに分離
- 「統合失調症とは、松澤大樹先生の発見」などの内容の追加
- 扁桃体の解剖図の参照記載
2021年5月2日
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