第9回 ベンゾジアゼピン薬害問題(胃症状)
( 鍼灸のハリ施術でうつ病を治す )

2022年1月11日

うつ病・メンタル ベンゾジアゼピン 鍼灸・ハリ

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抗不安薬、睡眠導入剤、頓服の主成分はベンゾジアゼピンです。脳の興奮を抑える薬です。

今回ベンゾジアゼピンの胃に対する副作用を知りたくて論文検索をしました。 そして有力な論文を見つけました。 2004年フランスの論文です。*1)


論文よるとベンゾジアゼピンの受容体は胃の底、胃の出口、胃全体の上皮に多いことが分かります。 その多い受容体によってベンゾジアゼピンの副作用が胃の症状として現れ易いことが分かりました。


知見

うつ病患者さんの中で強い胃の症状を訴える患者さんがいます。 その原因は抗不安薬、睡眠導入剤、頓服の主成分のベンゾジアゼピンと胃のBZの受容体によって作られる。

更に胃下垂を持つ患者さんは、胃が垂れ下がった胃の構造になっています。胃の下部がポットのような形になっています。 それでBZの服薬後に薬がポット状の胃に滞留しやすい身体になっています。 それでBZが胃のBZの受容体と反応し易しくなります。 

それで「胃の強い不快感の胃の膨満感、胃が動かない、吐き気」が生じます。  


うつ病 + やせ型 + 抗不安薬、睡眠導入剤、頓服の常用 
  => 強い胃の症状

胃下垂により胃の症状が強化されている。


今年の最初のブログの記事

今年の最初のブログの記事がベンゾジアゼピンの副作用(胃)です。
メンタル疾患の胃の不調の真の原因が分かりました。 感慨深いものがあります。

メンタル疾患の患者さんの中で胃の症状を強く訴えられえる方がおられます。
ハリ施術をしても胃の症状の改善は芳しくありませんでした。

今となって分かるのですが、ベンゾジアゼピンの薬が胃に直接作用して胃の活動を低下させていたようです。 

それが多くの胃の症状を作っていました。 それでベンゾジアゼピンの薬を飲み続けている限り、いくらハリ施術をしても効果が少ないことが理解できました。


今までやっていたハリ施術

これまでは抗不安薬、睡眠導入剤、頓服は主成分ベンゾジアゼピンは胃に副作用をほとんど起こさないと考えていました。 胃の不調を作るのは、ストレスによって作られた脳の不調であると考えていました。 

視床下部や脳幹にあって摂食をコントロールする自律神経の不調や本能的な生存に関わる中枢の障害です。


それでハリ施術でうつ病に関わる胃の不調の解消しようと、いろいろと手を尽くしていました。 ハリ施術は脳のそれらの中枢に対する血流を高める方法です。

同じように胃の周囲で体表にある筋肉のコリを取る施術も行っていました。 これは胃の周辺の筋肉の血流を高めて、それに引っ張られて体内にある胃の血流が高るという考えです。

しかし薬の副作用が作る症状なので、服用を続ける限りハリは効きません。

ベンゾジアゼピンとは

抗不安薬、睡眠導入剤、頓服の主成分はベンゾジアゼピンです。BZと略記されます。
BZは脳神経細胞に作用します。 

脳神経細胞の活動を低下させることで、脳の興奮を抑制します。 例えば不安は脳の活動で作られます。 脳の活動が低下すると不安の量も少なくなり、不安が低下します。

脳神経細胞にはBZの受容体があります。 それにBZが作用すると、細胞内にマイナスの塩素イオンが注入されてます。 その結果、細胞内がマイナス電位に強化されて、発火し難くなります。 

発火しないことは外部の神経細胞へ情報が伝達がされないことです。 ある小さいな不安という情報を生まれても、それが広く脳内に広がらないということです。

体内のBZの受容体の分布とは

BZが細胞に作用するには細胞にBZの受容体が必要です。 
私はその受容体の体内の分布がよく解っていませんでした。 

ネット検索しても日本語では受容体の体内の分布について具体的な論文を見つけることができません。 もしかして腸には多いかもしれない程度の情報です。 

もしかして腸には多いかもの背景は、
GABAの受容体は腸に多いことは私も知っています。 BZの受容体はGABAの受容体との複合体であるので、その連想からBZの受容体が腸に多いと想像されたかもしれません。


BZ受容体の分布を明らかにした論文*1)

2004年に発表された論文です。 フランスの製薬会社のサノフィの研究者によって書かれた論文です。 世界的な製薬会社の研究者によって書かれたことが皮肉的です。

論文の検証は体内の臓器の細胞を取り出して特異的に染色させて、発色の量から受容体の量を特定しています。

論文によると体全体でBZの受容体はテストされたほとんどすべての組織に見られ、さまざまな発現レベルを示します。 

その中で消化器のBZの受容体は胃の表面上皮、胃底細胞、および幽門粘膜に多いことが分かりました。

胃の構造とBZ受容体

胃の底と胃の出口にBZの受容体が多いです。 それと胃の全面の表皮です。
胃の幽門は胃の出口です。 Fig.1の胃の下部左です。 

胃の出口が少し上の位置ですので、服薬後に薬が胃に滞留しやすい構造であることが分かります。 

また胃下垂になると胃の底がFig. 1より更に垂れ下がります。 胃の出口の幽門の位置は余り変わらないので、より薬が胃に滞留しやすくなります。 

腹筋のない痩せた人に胃下垂は多いと言われています。


Fig. 1 胃と腸のイラスト By Pixabay Clker-Free-Vector-Images
Fig. 1 胃と腸のイラスト
By Pixabay Clker-Free-Vector-Images  


うつ病と胃下垂

うつ病の患者さんの中で、何人かが強い胃の症状を訴えておられました。
いずれの方もやせ型でした。 胃下垂に多い体形です。

抗不安薬、睡眠導入剤、頓服は常習か毎日服用していました。  

それでうつ病患者の胃の症状は、ベンゾジアゼピンを原因として、胃下垂を持つ患者さんに強くでているのではと考えています。


胃下垂のX線画像

17歳の少女の胃下垂のX線です。 胃の底が垂れ下がっていることが良く解ります。 
胃の底がポット状になっています。 

胃が正常であれば、胃の底は骨盤の上の位置(ヤコビー線)よりも上にあります。
ヤコビー線は左右の骨盤の上縁を結んだ線です。

Fig.2では胃の底が垂れ下ってヤコビー線よりも下にあることが分かります。

胃下垂のX線画像


Fig. 2 Gastroptosis: 
An Uncommon Cause for a Deep Nasogastric Tube
Neil D. Fernandes
Sarah A. Murphy
Published:April 11, 2020DOI:https://doi.org/10.1016/j.cgh.2020.04.016
https://www.cghjournal.org/article/S1542-3565(20)30499-7/fulltext#relatedArticles


ベンゾジアゼピンの胃への副作用

抗不安薬、睡眠導入剤、頓服の服薬後に薬が胃に滞留すると、胃のBZの受容体と反応して胃の細胞の活動を低下させます。 

具体的な症状は、胃が動かない、活動低下による膨満感、胃が張る。 ひどくなると吐き気、嘔吐症状がでます。


うつ病や自律神経症で痩せた方の方に強い症状が出ていることが多かったです。
教科書通りの結果です。 腹筋がない方の胃が垂れ下がっています。

恐らく胃下垂になっていて胃の底部が腸側に垂れてポット状になります。 そこにBZの薬が滞留することで薬が強く反応しているようです。


参考文献

1) ヒト組織における末梢性ベンゾジアゼピン受容体の免疫組織化学的評価


Immunohistochemical Assessment of the Peripheral Benzodiazepine Receptor in Human Tissues

Sriram Venneti, Amy K. Wagner, Guoji Wang, Susan L. Slagel, Xiangbai Chen, Brian J. Lopresti, Chester A. Mathis, Clayton A. Wiley.

Published in final edited form as: Exp Neurol. 2007 Sep; 207(1): 118–127. 
Published online 2007 Jun 19. 

doi: 10.1016/j.expneurol.2007.06.003
PMCID: PMC2042945



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