今回の記事は、アルツハイマー症にカルシウムの過剰摂取が関わっている可能性を示します。同時にカルシウムは身体の老化にも関わっている可能性も示します。
言葉を変えれば、普段の食生活でカルシウムの過剰摂取に注意をすればアルツハイマー症になり難くなる、更に老化の進行を抑える事ができる。
Engin AkyurtによるPixabayからの画像 |
背景
「脳の老化 第1回」の記事で、アルツハイマー病のアミロイドβが脳のグリア細胞で作らる事が分かりました。 アミロイドβは普通の脳の活動で作られる脳のゴミです。生きている限り避ける事の出来ない脳のゴミです。普通の脳の活動で生まれます。
この事実は20年前の1993年の米国科学アカデミー発行の論文を見つけて漸く解りました。*1)、2)
最新の論文は、根本を問う基礎研究的な視点が抜けて応用面ばかりです。
嘆いても仕方ありません。 私なりに、1993年から20年も経過したので、何か新しい根本を解き明かす発見があるはずです。
最新の科学論文を読み解いて、アミロイドβとが脳のグリア細胞を深振りします。
2023年の1月13日から1月15日にTwitterで連続的に発信した内容がベースになっています。
Twitterは140文字の制限があるので、言葉足らずの所もあります。 それに加筆して分かり易くしました。
グリア細胞
アミロイドβが脳のグリア細胞で作られ事が分かったので、グリア細胞を更に調べました。
生物物理学会のホームページに次の記事がありました。
近年,アストロサイトでのカルシウムシグナルの異常と,てんかんなどの脳神経疾患との関連性が指摘されています。
たとえば、てんかんやアルツハイマー病などの脳疾患のアストロサイトにみられるようなカルシウムシグナルの異常は、これらの疾患の発病機序に関わっている可能性があります。
カルシウムか?
てんかんは脳の一部の異常興奮の病気です。 カルシウムシグナルの異常は脳の一部の異常興奮を引き起こすと生物物理学会のホームページは言っています。
更にアルツハイマー病は脳の細胞が溶ける病気です。 カルシウムシグナルの異常は脳の細胞が溶けると言っています。
グリア細胞のアストロサイトにカルシウムの異常があるとその病気と関連性が高いと言っています。
アルツハイマー病のアミロイドβとカルシウム
「アルツハイマー病の新たな発症メカニズムを解明」 2018年12月国立量子科学技術研究開発機構の記事によると *4)アルツハイマー病におけるAβの蓄積が脳内のカルシウムの乱れを引き起こし、そのカルシウムの乱れが更にAβの蓄積を増強する悪循環 https://qst.go.jp/site/qms/1723.html
またしてカルシウムで、グリア細胞か
またしてカルシウムで、グリア細胞か
「カルシウムの乱れとは」、それが疑問として残った。
京都産業大学&理化学の共同研究
カルシウムの乱れを調べていたら行きついたのが京都産業大学&理化学の共同研究です。
2016年に米国科学アカデミーに発表された論文です。*5)
内容はサイトゾル(細胞内液)の過剰なカルシウム濃度上昇は有害で様々な脳疾患を生む。
サイトゾルの過剰なカルシウム濃度を調整しているのは細胞の小胞体です。
小胞体と細胞液(サイトゾル)の濃度差は1万倍。 細胞内と細胞外のカルシウムの濃度差は千倍。
やっぱーカルシウムの過剰摂取はやばい!
カルシウムの乱れ(その2)
上の論文から 細胞内のカルシウムイオン濃度の変動は、細胞増殖や細胞死、筋肉の収縮、免疫応答など重要な役割を果す 小胞体内のカルシウム濃度が維持されない時は機能が著しく低下し最終的に細胞死が起きる事がある。
細胞死は脳が溶けるアルツハイマーと理解できる。
カルシウムの乱れ(その3)
カルシウム(Ca)はセカンドメッセンジャーなので脳神経細胞の興奮の制御に関わる 小胞体がCaを貯蔵(吸収)する事で細胞内のCaが減って興奮が止まる。細胞外のCaが増えると細胞内に流入する量が増えて小胞体がCaの全てを吸収できない そして細胞の興奮が続く。
カルシウムの過剰摂取か?
カルシウムの乱れ(その4)
カルシウム濃度差は 細胞の内外の千倍。 細胞内の小胞体の内外で1万倍。 細胞外のCaが増えると細胞内に流入する量が増えて小胞体との濃度差が小さくなる。 濃度差勾配が小さくなるので、イオンチャンネルの応答が遅くなる。老化で応答が遅い、切れが悪い
やっぱー老化だ
カルシウムの乱れ(その5)
2021年の最新の論文があります。*6)
その中で、「ERdj5 を介した細胞内 Ca 2+の調節は、細胞老化に関与するミトコンドリアの恒常性の維持に不可欠」と記述されています。
細胞内でカルシウムと関係の深い小器官は 小胞体 と ミトコンドリア です。
ミトコンドリアは細胞内の電池であるATPを作ります。
細胞の活動エネルギーのATPを生み出せないので細胞死になると考えられます。
やっぱカルシウムです。
カルシウムの過剰摂取の事例
高齢になってカルシウムが不足してそれが、細胞内のカルシウムの乱れを作りだしていると言う考えもできます。
私はその考えには同意できません。
カルシウム過剰の事例を知っているからです。
その事例は、
牧場主の妻の方です。 毎日牛乳を多く飲んでいました。
その女性の方は高齢になっても骨は丈夫で、内蔵も丈夫でした。
元気そのものでしたが、
しかし酷い認知症を発病しました。
脳がダメになりました。
それで家族の方は10年以上介護に関わりることに成りました。
本当に大変だったようです。
身体が元気でボケたら本当に大変です。
私もそれだけは避けたいと思います。
恐らく多くの人は、最後は家族に迷惑を掛けずに
願いはピンピンポロリだと思います。
この事例からどうしてもカルシウムが不足が認知症を起こすとは考えられなくなりました。
バイアスが掛かっていると思われて仕方ありませんが、
まとめ
以上の論文を総合的に読み解いて、一つの事が読み取れます。
それは
やっぱカルシウムです。
カルシウムの過剰摂取は問題があります。
更に豊かな想像力を使って大きな絵を描くと
カルシウムの過剰摂取をすると細胞外のカルシウム濃度が高くなる。
尿と便で過剰カルシウムは排泄されますが、短時間で血中のカルシウム濃度が高まると、
例えば吸収の良い液体(牛乳)やカルシウム・サプリメントの事です、尿と便への排泄が間に合わないので細胞内にカルシウムが入りこむ。
そうなると小胞体がカルシウムを吸収し細胞内のカルシウムを1万倍のレンジで下げて、細胞の興奮を抑制ができなくなる。 細胞が常に興奮した状態になる。 例えば異常な筋収縮(筋肉のコリ)の持続が起きる。
或いは細胞のエネルギーを作るATPの不活性によって、細胞維持のエネルギーが作れない細胞死。
或いは高齢の女性にある、女性ホルモンのエストロゲンの加齢による分泌の低下です。
それで骨形成が低下する。 骨を作る事にカルシウムが使われなくて細胞内のカルシウムが入って、細胞内のカルシウム濃度が高くなる。
ものすごくシンプルに言うと
カルシウムの過剰摂取は老化を進行させる。脳の老化はアルツハイマーです。
脳の細胞内のカルシウム濃度が高くなり、細胞死(脳が溶ける)して認知症になります。
普段の生活で、カルシウムの過剰摂取に注意が必要です。 また5人に一人が認知症になる世の中では、みんなが考えている以上にカルシウムの過剰摂取になっている。
今の世間のカルシウム摂取の基準では過剰摂取になってしまうという事です。
以上
資料
1) 神経細胞および非神経細胞の分泌経路におけるベータアミロイドの生成
神経細胞および非神経細胞の分泌経路におけるベータアミロイドの生成
Generation of beta-amyloid in the secretory pathway in neuronal and nonneuronal cells
J Busciglio 1, D H Gabuzda, P Matsudaira, B A Yankner
Affiliations expand
1993 年 3 月 1 日;PMID: 8446635 PMCID: PMC46027 DOI: 10.1073/pnas.90.5.2092
Generation of beta-amyloid in the secretory pathway in neuronal and nonneuronal cells
J Busciglio 1, D H Gabuzda, P Matsudaira, B A Yankner
Affiliations expand
1993 年 3 月 1 日;PMID: 8446635 PMCID: PMC46027 DOI: 10.1073/pnas.90.5.2092
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8446635/
これらの結果は、ベータアミロイドが分泌経路で生成されることを示唆しており、グリア細胞が脳におけるベータアミロイド産生の主要な供給源であるという証拠を提供します。
2)ベータアミロイド前駆体タンパク質の正常な細胞プロセシングにより、アミロイドベータペプチドおよび関連分子が分泌されます
Normal cellular processing of the beta-amyloid precursor protein results in the secretion of the amyloid beta peptide and related molecules
C Haass 1, A Y Hung, M G Schlossmacher, T Oltersdorf, D B Teplow, D J Selkoe
1993 Sep 24;
- PMID: 8239267
- DOI: 10.1111/j.1749-6632.1993.tb23037.x
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8239267/
3)アルツハイマー病の新たな発症メカニズムを解明
掲載日:2018年12月26日更新
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
https://www.qst.go.jp/site/qms/1723.html
4)「リア細胞 - 脳の黒衣、実は黒幕!? 鍵はカルシウムシグナル」
。https://www.biophys.jp/highschool/A-08.html
5)Proc Natl Acad Sci U S A
. 2016 Oct 11;113(41):E6055-E6063. doi: 10.1073/pnas.1605818113. Epub 2016 Sep 30.
Redox-assisted regulation of Ca2+ homeostasis in the endoplasmic reticulum by disulfide reductase ERdj5
Ryo Ushioda 1, Akitoshi Miyamoto 2, Michio Inoue 3, Satoshi Watanabe 3, Masaki Okumura 4, Ken-Ichi Maegawa 3, Kaiku Uegaki 5, Shohei Fujii 5, Yasuko Fukuda 5, Masataka Umitsu 6, Junichi Takagi 6, Kenji Inaba 3, Katsuhiko Mikoshiba 2, Kazuhiro Nagata 7
PMID: 27694578 PMCID: PMC5068290 DOI: 10.1073/pnas.1605818113
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27694578/
6)Sci Rep
Ca2+ imbalance caused by ERdj5 deletion affects mitochondrial fragmentation
2021 Nov 2;11(1):20772. doi: 10.1038/s41598-021-99980-9.
Riyuji Yamashita , Shohei Fujii , Ryo Ushioda , Kazuhiro Nagata
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34728782/
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